親権・監護権について – 知って得する離婚マニュアル
夫婦・離婚の問題

親権・監護権について

親権(親権者)

親権とは
未成年の子供がいる夫婦が協議離婚をする場合、離婚後の親権者(法定代理人)を夫婦のどちらにするか、離婚前に決めなければなりません。
親権者は離婚届の記入事項で、記載がない場合には離婚届を受けつけてくれません。婚姻中は夫婦が子供の共同親権となりますが、離婚後は夫婦一方の単独親権となります。
離婚後も父母が共に子供の共同親権となることはできません。
また、夫婦のどちらが親権者になるか協議で話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所へ親権者を定める調停、又は審判の申し立てをすることになります。
判決離婚の場合は、家庭裁判所が職権で父母の一方を親権者と定めます。

親権とは法律的に「身上監護権」と「財産管理権」とに分類され、具体的には、子供が一人前になるように、身の回りの世話、教育、躾や身分行為の代理人になる「身上監護権」と、子供に代わって子供名義の財産の管理や、財産に関する法律行為を行う「財産管理権」となります。但し、親権を持たない親も子供の扶養義務はあります。

親権者を決める基準
基本的には夫婦の話し合いで決めますが、親のエゴや、どちらが離婚原因を作ったかなど、意地の張り合いで決めるべきではありません。
離婚の原因を作った有責配偶者だからといって、親権者になれないわけではありません。
どちらの親で育てられたほうが、経済的、精神的に安定した生活環境を過ごせ、子供の福祉、教育、など利益になるかを最優先で考えるべきです。

まだ子供が乳幼児の場合には、母親と一緒に生活する方が、保育上、自然であると考えられ、80%以上は母親が親権者・監護者になっています。
子供がある程度の年齢に達した場合は、子供の意思が尊重され、子供が15歳以上の場合は、子供の意見を聞く必要があります。(家事審判規則54条、70条)
但し、子供に親権者の決定権があるわけではありません。子供が20歳を過ぎたら、親権者を指定する必要はありません。
 

●子供が複数いる場合

子供が複数いる場合には、それぞれ親権者を決めていきます。但し、子供全員の年齢が低い場合、兄弟姉妹が一緒に生活したほうが、人格形成の面からも良いと考えられ、一方の親に親権を統一することを原則としています。

●母親が妊娠中に離婚した場合

母親が妊娠していて、子供が生まれる前に離婚した場合は、親権者は母親になります。但し、出産後に協議により親権者を父親に変更することも可能です。

●親権者が死亡した場合

親権者が死亡した場合、もう一方の存命している親が自動的に親権者になるわけではありません。この場合は「後見人」が立てられます。未成年の子供の後見人は、親権者の遺言で指定されていればその者が、指定されていなければ、子供の親族や利害関係者の請求によって家庭裁判所が後見人を選任することになります。
但し、もう一方の存命している親が家庭裁判所に、親権者変更の申し立てを行うことは可能です。

親権者の変更
いったん決めた親権者を、離婚後に変更することは簡単ではありません。
例え、父母間の間で親権者の変更の合意ができていても、家庭裁判所で調停、又は審判により決定されなければなりません。この申し立ては、父母や子供の親族が申し立てることができ、さらに児童福祉法により児童相談所の所長にも申し立ての権利を持たせています。子供自身には申し立ての権利はありません。

親権者変更の申し立ては子供の居住地の家庭裁判所に対して行います。家庭裁判所は子供の福祉に必要であると認めた場合のみ許可を出します。例えば、現在の親権者の心身や経済状況に何らかの変化があり、子供の養育や教育義務を果たせなかった場合などに限られ、親の身勝手や無責任な都合で変更できるものではありません。
家事審判官(裁判官)は、子供の生活環境や意向など一切の事情を考慮して審判をすることになります。

子供の教育監護状況に問題がなければ、親権者の変更は認めらないこともあります。親権者の変更は戸籍の変更を伴うものですし、後々の親権者の変更は難しいということをよく考慮して、親権者は離婚前に慎重に決めるべきです。

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監護権(監護者)

監護者とは
一般的には子供を引き取り育てる側が親権者と監護者を兼ねていますが、親権の「身上監護権」の部分を切り離して、親権者とは別に監護者を定めることもできます。

例えば、父親が親権にこだわり、親権者になれないと離婚はしないと主張し、話がまとまらなかったり、父親を親権者と定めたとしても、現実は父親には仕事や出張もあり、日常の子供の監護教育が出来ないケースもあります。
このような場合、父母の話し合いで父親が親権者として子供の法定代理人・財産管理などの行為を行い、母親が監護者となって子供を引き取り、子供の身の回りの世話や教育を行う事ができます。

監護者の決定が、夫婦間の協議で話し合いがつなかい場合には、家庭裁判所へ監護者を定める調停、又は審判の申し立てをすることになります。家庭裁判所では子供の福祉を最優先で考え、どちらで生活をした方が、子供が幸福であるか判断します。仮に父母共に経済的、健康的な事情で子供の監護教育ができない場合は、祖父母やおじ、おば等でも良いとされています。
母親に生活力があれば、監護者として認められるケースも多く、特に子供が乳幼児であれば、特別な事情がない限り、現実に監護している母親が監護者として適していると判断されます。

もっとも親権者と監護者を分けるのはまれで、子供の氏やその他の問題もあるので、やむを得ない特殊な事情がある場合に限られます。

親権者は離婚届に記載されますが、監護者は離婚届に記載されません。
父母の話し合いで監護者を決めた場合は、必ず離婚協議書にどちらが監護者になり子供を監護養育するか記載しておいた方が良いでしょう。

離婚協議書の作成ポイント

監護者の変更
監護者の変更は、親権者の変更とは違い戸籍の変更を伴いません。
基本的には父母の話し合いだけで監護者の変更は可能です。父母の協議でまとまらない場合には、家庭裁判所に監護者の指定を調停によって決めてもらうこともできます。この申し立ては父母に限らず、親族や児童相談所の所長など第三者でも行うことができます。但し、子供の意向は考慮しますが、子供自身には申し立ての権利はありません。

家庭裁判所では、現在の監護者の経済面や精神的な事情で、子供の監護教育の環境が悪化してる場合や、子供と監護者の再婚相手との関係がうまくいかない場合など、監護者を変更した方が子供の福祉や利益の為に良いと判断したのみ認めます親の勝手な都合で監護者の変更は認められません。

監護者を変更した場合も、必ず離婚協議書などに、どちらが監護者になり子供を監護養育するか記載しておいた方が良いでしょう。

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親権も監護権も持たない親

親権も監護権も法的な決め事であり、親権や監護権を持たない親でも子供の扶養義務はあり、子供をどのように育て教育するか意見を言う権利もあります。また子供を引き取り育てる側へ対して、「面会交流権」も要求できます。

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